あつまろです。

M&Aバブルというほど、近年いたるところでM&Aが起きています。ただし、M&Aの成功は難しいと言われています。そもそも売り手企業からすると現在の時価総額から高く売りたくなり、買い手企業は高値をつけることが多くなります。しかし、買収によってその高値を上回るシナジーを出すのは難しいからです。そこで今回はM&A巧者である日本電産の永守社長の決算発表における発表からそのポイントを探りましょう。
「高値づかみはしない」
永守社長は、「会社は誰でも買える。お金を出せば買えるが、高いものに飛びついても必ず減損に迫られる。我々は3年で利益率10%、5年で利益率15%の収益を目指して、そのメドがつくところしか買わない。モーター事業関連ではEV/EBITDA倍率で10倍未満が目安。他の企業は高値で買ってどうするんだと思ってみているが、そういう高値買収をする企業は必ず減損している。それで儲けているのはFAのみ。彼らは高値になればなるほど手数料が高くなるから」という趣旨の発言をしています。高値づかみをしないということ自体はわかるのですが、さあ、どうやってそれを実現するのかが気になるところです。

「ドイツコンプレッサメーカのセコップ買収」
2017年4月に買収を発表したセコップ買収での具体的な話について述べています。「今回買収した家電モータのセコップも粘った。私は185億(おそらく1.85億ユーロのこと)しか出せないと言っていて、相手は最初300億(3億ユーロのことと思われる)と言ってきた。何回も何回も決裂して、また再開するということを繰り返して最後は185億で買えた」。私はこれまでも日本電産をみてきていますが、いくつもの候補企業を出して、そのなかから社内チームで理論買収価格を決めているようです。多くの企業をモニタリングして複数交渉して、ダメなら見送りとまたチャンスがあれば再開、ということを繰り返しているようです。M&Aの買いものは、「買いたい」という思いになって高値づかみをしがちですが、複数案件を場合によっては何年もかけてモニタリングと交渉しているので、「買えなくとも」焦らずタイミングを待って長期戦で交渉しているのがポイントのように思います。

「買収価格以外のポイント」
「海外企業の買収で苦戦している企業が多いが、日本電産が成功するのはなぜか?」という問いに対して、「 1.高値は買わない(相手の業績が悪いときが良い) 2.買収までは2合目、そこからが本番(PMI) 3.自社資源とのシナジーを明確にする」という3点を述べています。

特に2番目のM&A買収後の統合作業(PMI)については、永守社長は以前から他の場所でもM&A成否の8割はPMIにかかっていると述べてきました。他の企業では買収が終われば、経営者は現場にあとは任せるというスタンスになっているが、買収後こそが本当の意味での始まりだと述べていました。「日本電産永守重信社長からのファクス42枚」という書籍では、かつて永守社長の下で買収先企業の再建に携わった方が、永守社長の指示の下、すべての伝票をみてチェックすると述べていました。なかには社長や役員の新聞購読まで止めるという細やかなレベルですべての費用まで目を通すということをやっていました。

取引先とのコスト交渉も永守社長の指示の下、5段階(担当者から始まり徐々に上の役職にいって最後は社長まで出てアプローチする)という徹底ぶりでした。ただ、コスト低減率を上回る発注量を出すことで取引先には売上で報いることで、取引先に痛みだけを与えるということはせず対応していたようです。こういう取引先との値下げ交渉方法まで永守社長が指示するという徹底度合いで、統合後の細やかな作業を実施しているということです。

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