あつまろです。

前回の記事「キヤノンのなぜ?業績UPで株価DOWN」では、「スマホがデジカメの領域を侵食してきている」ことや「高性能カメラ事業も影が忍び寄る・・」というネガティブな話を中心にお話しました。今回はキヤノンの良さに注目し、以下3つの強みをご紹介しようと思います。
「1.生産性向上」
「2.株主還元」
「3.ビジネスの拡大」
「1.生産性向上」
生産性向上という言葉は格好いいですが、つまりコスト削減です。 キヤノンの生産性向上への取り組みは日本企業トップレベルではないかと思います。部品や装置の内製化によるコスト削減も従来から実施されていますが、最近のキヤノンの生産性向上のキーワードは「マシンセル」と「自動化」です。
まずは「マシンセル」から。キヤノンは1990年代後半から作業員が複数の組み立て工程を受け持つ「セル生産」方式を導入し、生産効率を高めてきました。最近では従来のセル生産方式をさらに発展させてロボットが得意とする工程と人にしかできない工程を組み合わせる「マンマシンセル」方式へ発展させ、少人数による生産を実現しています。
もうひとつの「自動化」については、「自動化なんていまどき当たり前じゃないか」と思うかもしれません。しかし、その自動化の徹底度が群を抜いていて、キヤノンは生産の無人化まで到達しています。例えば、プリンターなどに使われるトナーカートリッジでは欧州などで無人化生産を実施しています。最近ではさらに高い精度が要求されるデジカメで世界初となる生産無人化に挑むという報道がありました。デジカメの部品数は約600〜1000点あり、組み上げ梱包するまでの作業を無人でできるようにするというものです。
デジカメ自動生産を目指す大分と宇都宮の2つの工場は、従業員は無人化後に成長分野の新規事業部門に移すなど攻めの分野にシフトすることが可能になります。
Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 7D ボディ EOS7D

「2.株主還元」
私は投資家として実際にキヤノン株を保有していますが、この企業は日本企業にしては珍しく株主のことを考えた経営をしている、という印象を受けます。配当と自社株買いの2つの施策が目につきます。2012年12月期の配当と自社株買いを合計した株主配分の総額は3000億円程度と、連結純利益(2340億円)を大幅に上回る株主還元がなされています。昨年の株価低迷時にキヤノンに追加投資した際には、配当利回りが5%近い数字になっていて「こりゃ買っとかなきゃ」という状況でした。
余談ですが、「自社株買いって何が株主のメリットなの?」を補足しておきます。企業が自社株買いをすると、その分だけ配当も支払わされず発行済み株式数が減少することになります。発行済み株式数が減ると、1株当たり利益や純資産が増加します。企業として同額の利益を上げていても、分母が減れば1株あたりの価値が高まるので株主のメリットになる、というわけです。

「3.ビジネスの拡大」
まずは前提知識としてキヤノンのビジネスの核は、世界トップの「デジタルカメラ」と「事務器(プリンターなど)」の2本柱です。デジカメは世界シェア約20%、レーザープリンターは約45%。ちなみに複写機は世界2位の約15%です。既に確立した事業とは別の成長戦略が求められている状況です。
新しい領域の模索したいところですが、キヤノンは既存ビジネスをさらに深化させて新たな領域に進出しているという点が大変興味深いです。例えば、デジカメ事業による最先端のデジタル画像技術を駆使し、建仁寺(京都市)の重要文化財であるふすま絵「方丈障壁画」の高精細な複製品を製作して奉納したというニュースがあります。 また「前回記事」でもご紹介した業務用ビデオカメラ事業。映画業界やCMなどプロ向けの領域で英BBCからの大量受注をゲットして勢いに乗っています。

既存技術の延長によるビジネスだけではありません。最近では3本目の柱として医療を注目しているようです。2010年にポーランドの眼科診断機器ベンチャー「オプトポル」を買収し、眼底構造を映し出す3次元コンピューター眼底断層撮影装置(OCT)市場へ参入します。OCTの市場規模は世界で年約6000台。日本では約1200台の独カールツァイスが強いようですが、「オプトポル」が持つOCT技術と、キヤノンの精密光学技術を組み合わせ、小型で高画質なOCTを共同開発したと発表さています。医療の分野でも、これまで培ったデジカメと事務器の技術が活きてくるんですね。頼もしいです。

Canon インクジェット複合機 PIXUS MG5430

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