あつまろです。

「アップル株が下げ止まらない」。ここ4ヶ月で約4割の株価下落。株式時価総額、世界1位の座をエクソンモービルに明け渡しました。直近の決算発表で四半期ベースで売上、利益ともに過去最高をつけたにも関わらず、です。 問題は市場関係者が描く成長ストーリーが途切れてしまったことにあります。以前、「世界を支配する4皇」という記事で「現時点でナンバー1はアップルですが、iPad、iPhone、iTuneという牙城の切り崩し攻勢は熾烈を極めています」というご紹介をしましたが、市場関係者は首位陥落の日を予期しているようです。
アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか
「成長神話に陰りが」
決算説明会でティム・クックCEOは「iPhone4とiPadミニが品薄だった」と述べたそうです。ん?待ってください。iPhoneの最新版は5です。なぜ4が売れるのか。それはiPhone4は米国で条件付き0ドルで売られているからです。価格破壊は既に起こっており、高い端末は売れなくなってきています。新興国などに向けてiPhoneの廉価版が販売されるというウワサも出ている状況です。また、iPhone5では地図アプリトラブルなどで品質イメージを下げることにもなってしまいました。また、iPadミニは従来機に比べて価格が安い。iPadの売上高を販売台数で割った1台あたり売上高は、この2年で160ドル(約15000円)下がっているそうです。
これまでの業績牽引役であったスマートフォンとタブレットの両輪にダメージを負っているという状況です。

「時計の針を戻します」
つい1年前までは市場関係者の見方は全く違っていました。2012年3月17日の日本経済新聞コラム「ウォール街ラウンドアップ」では、以下のように描かれていました。
アップル株は大型成長株を投資対象とする米投資信託の9割近くがすでに保有。さらに奇妙なことに、50以上の中・小型株投信、約40の高配当株投信も購入しているという。アップルは時価総額世界一の大企業で、無配当にもかかわらずだ。米国以外を対象とするファンドや債券ファンドまでアップル株を持っていることが確認されたという。アップル株には「まだ割高感はない」とみるアナリストが多い。

しかし、徐々に成長への陰りが見えてきます。無配だったアップルは世界で荒稼ぎした利益を使い切れず、配当で株主還元することに舵を切りました。一方で「世界を支配する4皇」のライバルであるアマゾンは、4兆円近い売上に対して利益のほとんどを使いきって先行投資に充てている状況です。いくらでも投資するものがある、という状況です。成長への余白に差が出始めていました。
ちなみに、先の日本経済新聞コラム記事には続きがあります。
それでも、アップルという会社に何の興味も接点もない運用者が「持たないと市場に負けてしまう」という理由で右にならえの買いを入れる状況は正常と思えない。
 いま私たちが見ている光景は、りんごバブルがはじめるところなのです。

「日本企業へのインパクト」
アップルの製品に日本メーカーの部品が多く使われています。今回のアップル決算発表の前に日経新聞ではこんな記事がありました。「アップル頼みにリスク、部品各社、納入先開拓カギ」。iPhone5の世界販売が計画を下回ったため、シャープなど液晶パネル大手がアップル向け製品の減産に入り、アップル以外の売り込み先を見つけようね、という記事です。
また、最強日本企業ファナックも経常利益19%減の見通しを発表しました。原因はiPhone減速による影響です。中国のiPhone工場において、高精度を誇る日本製の工作機械が必要とされており、その代表例がファナックのロボドリルなのです。

余談ですが、アップルの製品に日本メーカーの部品が多く使われているのは、部品メーカーの品質が高いだけではなく、中国・台湾から近いからという立地のおかげでもあります。アップルの製品の組立工場は中国にあり、アメリカから船便で中国に行くには35日。航空便だとコストが船便の10倍。日本からだと部品供給に多くの時間がかからず、日本メーカーは欧米メーカーより地理的に有利な立場にあります。

「アップルが狙う次のホームラン」
噂されるのはテレビ。次なる製品が成功すれば、アップルの新たな成長ストーリーが始まるという期待はあります。しかし、薄型テレビでは日本家電各社が価格競争で痛い目にあい、スマートフォンやタブレットも価格競争に巻き込まれました。仮にホームランを打ったとしてもアップルが求められているのは、改善ではなく連続的なイノベーション、価値の創造。なんとも厳しい世界です。

「過酷なテクノロジーインダストリーの世界」
「テクノロジーインダストリー」という世界においては、勝者がすべてを支配する「winner-take-almost-all」の世界。それは今日の勝者が明日の敗者に。黒が一気に白に置き換わるようなオセロ型ビジネスを意味します。
世界中の生活を激変させたスティーブ・ジョブズの功績は偉大です。 ただ、彼が生きる世界は、すぐに二番煎じが出てきて価格競争になってしまう世界。新薬業界のように画期的な新薬を開発しても特許切れになると後発薬メーカーが価格の安い類似製品を販売するかのよう。です 今回後発薬メーカーのような二匹目のドジョウで成功したのは韓サムスン電子。スマホ出荷台数の世界シェアランキングは、サムスンがシェア30%を得てトップに君臨しています。しかし、スマフォの将来はアップルとサムスンのどちらかというより、勝者なき争いに終わりそうです。スマートフォンは500ドル(約5万円)から50ドル(約5千円)へ言われています。

2011年6月27日twitterで下記のような発言をしました。
スマートフォン、タブレット端末が世界の景気循環に一役かっていて、日本のメーカーも恩恵を受けています。が、この勢いが続くのはあとどれだけ続くのでしょう。 永続せず、価格競争となり・・・ そのときアップルは次の一手をうてているか
 テクノロジーインダストリーという世界で勝ち続けることは非常に難しいものです。私のような長期保有前提の投資家にとっても手を出すのは難しいと感じます。衣食住に関するビジネス、ユニクロのファーストリテイリング、飲料を手がけるコカ・コーラ、暮らしに必要な道具を提供するP&Gなどの方が持続可能性の面で取り組みやすく感じます。

スティーブ・ジョブズ I

にほんブログ村 株ブログ 株 中長期投資へ 応援よろしくおねがいします