あつまろです。

安倍政権になって注目度が増した「日銀」の役割。 でも、なかなか日銀のことって詳しくわからないですよね。そういう人に向けて池上彰氏が2009年出したのがこの本「日銀を知れば経済がわかる」です。さすが池上さんだけあって経済に強くない人にむけてもわかりやすい文章になっています。
「日銀の3つの役割」
「銀行の銀行」、「政府の銀行」、「発券銀行」という3つの役割、むかし授業で習いましたね。でも、それってどういうことなんでしょう。例えば「銀行にとっての銀行」を見てみます。 銀行など金融機関は日銀の当座預金を持っています。当座預金を持つことには3つの理由があります。第一に金融機関同士の取引の決済手段。第二に金融機関にとって安心できる預け先であるということ。最後は「準備預金制度」に関する法律で、有事の際に預金者からの引き出しに応じられないときに備えて、金融機関は一定の金額を日銀に預けておくというものです。

「日銀の独立性」
安倍政権ができる前から話題になっていたのは、日銀法改正や日銀の独立性の話題。 これも過去どういう経緯があったのかが明らかにされています。私個人の意見も滲ませつつ、少し見てみましょう。
日銀のような中央銀行は政治からの独立が求められます。政治家は(特に直近未来の)景気をよくしようと考えます。一方で日銀は物価の安定を目的とし、景気の過熱は避けたいという思いがあります。もしも日銀が政治家の思い通りに動くと過度なインフレになるなどして、経済が混乱するという懸念があります。実際、日本では世界大戦中に政府が戦争の費用をまかなうため、国債を大量発行して日銀に全て買い取りさせました。打ちでの小づちのようにドンドンお金が刷られて、結果的に世の中のお金が増えすぎて超インフレになったという経験があります。日銀は長らく政治からの影響を受けた(支配されてきた)という状況に対して、15年前の1998年、日銀法が改正されました。ねらいは日銀の独立性を強化しようというもので、政府の業務命令権や役員解任権をなくそうとした内容です。

しかし、現在の日銀を見ていると明らかに政治の影響を受けています。日銀の姿勢が変わらないのであれば日銀法を改正してどんどんお金を刷って、国債をせっせと日銀に買い取りさせよう、という過去来た道を歩んでいるように私には思えました。過去と違うのはインフレでなくデフレという状況。急激な超インフレは想像できないかもしれないですが、経済の歴史は超インフレに悩んだ歴史でもあります。本当にインフレをコントロールできるか、私個人としては現在のアベノミクスと言われる金融政策は怖いと感じてしまいます。

「日銀短観、さくらリポート」
さて本書に戻りますと「第10章景気動向を常に監視」という章があり、そこで経済ニュースでもよく取り上げられる「日銀短観」の説明があります。「日銀短観ってよく聞くけど何なの?」という方いらっしゃいませんか。日銀短観は民間企業1万社以上に対して景気は「良い」か「悪い」かを問うアンケートです。「良い」から「悪い」を引き算して景気動向を数値化しましょうというものです。けっこう単純ですよね。しかし、多くの企業経営者の肌感が数値化されて日銀の金融政策にも影響を与えますし、株価も影響を受けるように日本中に影響を与える重要な指標となっています。年4回発表されます。

もうひとつご紹介しておきたいのが「さくらレポート」、本名は「地域経済報告」です。日銀短観がマクロ調査だとすると、さくらレポートはミクロ調査。全国の日銀スタッフが全国各地の企業を訪ねて聞き取りを通して「現場の息づかい」を知り、全国を9つの地域に分けて経済の状況をまとめたものです。表紙がさくら色なので「さくらレポート」と言われると聞いたことがありますが、池上さんの本を読むと実際には「さくらレポート」という愛称が決まってから、それにあわせて表紙を決めたそうです。というのはアメリカが「ベージュブック」と呼ばれているのを意識して、日本なら桜でしょう、と「さくらレポート」となったそうです。トリビアですね。

「最後に」
他にもアメリカの日銀のような役割を果たすFRBの紹介と日銀との違いなど、いろんなトピックがありますが、ご興味がある方は本書をご購入ください。いま見てみるとKindleで発売されていました。紙の本とほぼ変わらない値段なのは残念ですが、たまに新聞などを読んでいると「あれ、どうだったっけ?」と辞書のようにパラパラと読み返すことが私はちょくちょくあるので、Kindleなど電子書籍だと便利だなと感じました。まだ、Kindleに対応した書籍は少数派ですが、もっともっと普及して一般化してほしいです。本の値段もさらにもう一段下げてもらえると消費者としてはありがたいですね。

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

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