あつまろです。

週刊東洋経済のアマゾン特集、とても楽しんで読みました。私は最低週1でアマゾンを利用しており、消費者としても投資家としても非常に興味がある企業です。
「利益を生み出さない企業」
世界で成功している企業といえばアップルですね。2011年の売上高は約1000億ドル(8兆円)。アップルの営業利益率35%(高収益!)です。アップルはあまりの利益額で次の成長に向けた投資として使い切れず配当で株主還元するほどです。一方、アマゾンは約500億ドル(4兆円)とアップルの半分程度ですが、営業益は2%弱しかありません。利益では雲泥の差です。

「売上はどこに消えた?」
では、毎年2桁成長をしているアマゾンですが、利益に上がらずにどこに売上で儲けたオカネが消えているのでしょう? その答えは「投資」です。75%ものオカネ(販管費)をITと物流の投資にまわしています。倉庫などの物流関連に46%、IT関連に29%(2011年実績)。物流拠点は2012年で19拠点が新設され、全部で69拠点まで拡張。2012年だけで拠点数は20%UPという状況です。無料配送、当日配送と業界の慣習を打ち破り、現在目指しているのはドミノ・ピザの速さだとか。ITへの先行投資でわかりやすいのがキンドルですね。ちなみにアマゾンは個人向けビジネスだけでなく、ベンチャーなど法人向けにクラウドサービスの大手としても知られています。アマゾンはその気になれば二桁利益は出して増収増益を続けることができるように、私には思えますが、ジェフ・ベゾスCEOは現在の利益を出すことに価値を見出していないように思えます。
週刊 東洋経済 2012年 12/1号 [雑誌]


「ジェフ・ベゾスCEOの視点」
ジェフ・ベゾスCEOは、アマゾンの3つの原動力を述べています。1つは顧客中心、2つはイノベーション、3つは長期的視野。誰もこの言葉をきいて反論する人はいないでしょうが、実際にこれらを推進すると多くの人が眉をひそめたり、妬みを持つようになります。なぜなら彼らの追求する道は、既存の世界を破壊することを意味することだから。
アマゾンの経営をみているとドラッカーの言葉を思い出します。 「企業の目的は顧客の創造である、利益は企業活動にとっての目的ではなく制約条件である」。

「キンドルのねらい」
アマゾンはキンドルの販売で利益は期待していません。彼らがキンドルを売るのはキンドルで読書を楽しむ機会の創出。既に販売された地域では読書量は4倍に伸びた実績があるとのこと。アマゾンは日本最大の書店です。 書籍の売上高は約2000億円で、2位の紀伊国屋にダブルスコアをつけています。現在の国内シェア10%程度だそうですが、キンドルをテコに20%まで伸ばしたい意向があるそうです。

「電子書籍で儲けはどう変わる?」
従来の書籍では書店の取り分は22%でしたが、電子書籍になると書店(アマゾン)の取り分は35%と言われています。取次業者が不要になり、印刷する必要のない出版社の取り分が減る分だけアマゾンの取り分が増えているわけです。
電子書籍だとアマゾンの取り分が13%上昇していますが、一冊あたりの利益額が同じように増えるわけではありません。電子書籍によって本体価格が2割ほど安くなる傾向があります。ちょっと試算してみましょう。1000円で売られている紙書籍だと書店(アマゾン)の取り分が22%で220円の儲け。電子書籍だと2割減で800円の販売価格としてアマゾンの取り分35%で280円の儲けになります。取り分の比率まではいきませんが、それでも売上は増えることになります。しかし、何よりも電子書籍による販売数の上昇の方が効果がありそうです。なにせキンドル発売による一時的なブームがあるとは言え、読書量が4倍に増えるという影響力はもの凄い。2013年以降、私たちの生活を一変する力を秘めていますね。
週刊 東洋経済 2012年 12/1号 [雑誌]

「アマゾンによる影響を受けている人々」
例1:ゾゾタウン
配送無料というサービスをアマゾンが導入した結果、消費者が無料配送を当然と思ってしまうことに。Twitterからのゾゾへのクレームに対して前澤社長が反論して炎上。結果的に無料配送と10%オフをつけて収益ダウン要因に。

例2:ヤマダ電機
消費者からみた家電量販店の役割に変化。以前は家電を買う場所が、さいきんはショールーム化。実物を確認した上で実際の注文はアマゾンなどの安いネット通販サイトへ。 ヤマダ電機は敵に塩を送ることになるとキンドルの販売を拒否。

例3:楽天
キンドル上陸前に市場を席巻しようとkoboを投入。が、問題続出で逆に信頼度ダウン。アマゾン投入後は投げ売り状態。 また中核の楽天市場もやはりアマゾンの無料配送や当日翌日配送によるサービスレベルの差を埋めようともがいている状況。

「投資家にとってのアマゾン」
じつは投資家にとって、アマゾンは投資するのに難しい企業です。なぜなら投資家は利益を重要な投資判断材料として扱っていますが、少なくともジェフ・ベゾスCEOは現在や直近未来の利益には注意を払っていない。彼らが徹底しているのは顧客が喜ぶこと、新しい価値観を提供すること。短期的な成功には目をくれない。一方で伸び続ける売上や、世界中での成功をみて期待感から買いが集まります。私は15年超の長期保有を前提にして投資選択を行なっており、アマゾンの長期志向という価値観に強い共感をもっています。 が、しかし、利益なき株価上昇に対してどう判断していいのか、正直言って迷ってしまう状況。他にも将来が楽観できて計算もしやすい、安定した利益や配当を提供する企業があるのに、あえて判断が難しいアマゾンを選択することができずに現在に至っています。
ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛

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