あつまろです。

売上高3000億円で営業利益1650億円。なんと営業利益率55%という高収益企業。しかも15期連続増収増益を達成している企業。どこの企業だかわかります?
増収増益(15期連続)
(2011年決算説明会資料より)

それはYahoo!JAPANです。みなさまご存知のとおりポータル(玄関)サイト最大手です。1カ月に約5100万人が利用。1日の閲覧数が約16億ページビューになるという日本のネットで欠かせない存在となっています。
「経営陣一新」
この15期連続増収増益を実現してきたのが井上雅博前社長(55)です。今年3月に井上前社長が退き、新社長に44歳の宮坂学氏が就任するというニュースが飛び込みました。この社長人事は、大株主であるソフトバンク孫社長の意向もあるでしょうが、5000名を超える東証一部上場企業の社長をこの若さで抜擢するのは異例だなと当時感じました。社長だけでなく経営陣も総入れ替えで一新しました。それから半年が過ぎましたが、すごい勢いでYahoo! JAPANが変革していることに驚いています。今日は彼らの軌跡を眺めていきます。

「キーワードは爆速」
彼らが掲げた合言葉が「爆速」。テレビや雑誌などのメディアでも何度も取り上げられていたのでご存知の方も多いと思います。
爆速
(2011年決算説明会資料より)

ネットビジネスというのは流行り廃れがとても早い業界です。私はネットビジネスを「オセロビジネス」と名付けています。きょう自社が市場を占有し「白一色」だったとしても、明日には別の企業が新サービスを打ち出して一気に「黒一色」に変わってもおかしくない世界です。ネットは設備投資が少なくてすむビジネスなので、大企業であっても有利とは限りません。それどころか大企業になってくると組織が硬直化し、新入社員は保守的な人が集まるようになり、チャレンジ精神がなくなってきがちです。ネットビジネスにとっては立ち止まることは「死」を意味すると私は思います。なので「爆速」という概念自体は賛成なのですが、さて具体的に何をやるのだろう?という話になります。

「利益を2倍に」
利益2倍
(2012年第1Q決算説明会資料より)

爆速という概念に具体的な数字が出てきました。2020年までに営業利益を2倍にするというのが彼らの掲げる目標です。その達成時期は「201x」年としています。3年後かもしれないし、7年後かもしれない。できるだけ早い時期に達成しようということでしょうが、1650億円を2倍にするというのは並大抵のことではできません。先ほど申し上げたように彼らの営業利益率は50%を上回っています。コスト削減はもちろんのことでしょうが、トップライン(売上)の拡大が至上命題でしょう。

「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」
10倍挑戦
(2011年決算説明会資料より)
概念と数値目標との間にこんなメッセージを出してきました。「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」。2倍成功は利益2倍と解釈します。利益を2倍達成するためには失敗を恐れず挑戦し続けることが必要。10倍挑戦というのは働く人にとって仕事の価値観を変えるようなインパクトのはずです。さて、この10倍挑戦を達成するためにどのような施策を出すのでしょうか。掛け声倒れにならないのか、気になるところです。

「施策その1.承認プロセスを4分の1に」
10倍挑戦をするのは社員。そのために何をするか?そのひとつの施策が承認プロセスを半減どころか4分の1まで削減したそうです。新事業の立ち上げに対して、社内稟議はこれまで8段階あったものを2段階にまで減らしたそうです。宮坂社長は「勇み足になってもいい」と真っ先に承認プロセス削減に取り組んだそうです。承認プロセス削減自体は地味ですが、これは「現場への権限移譲」であり、現場の挑戦を後押しする施策です。
権限移譲
(2011年決算説明会資料より)

「施策その2.縦割り組織に風穴を」
営業や開発など縦割になりがちな組織に対して事業ユニットで完結するために部門間横断的な仕事ができるようにしたそうです。こちらも地方分権的な施策です。これにより従来は「R&D統括本部」に1900人のエンジニアが集結していたそうですが、約1200人のエンジニアが大移動を行い、現場の企画・営業担当者と机を並べてサービスを手がけるという体制となったそうです。営業や開発や運用の場所が離れて仕事がやりにくいと感じたことがある方は少なからずいらっしゃるんじゃないでしょうか。よりユーザーやビジネスに近い立場で仕事ができるようにという取り組みです。もちろんこれにはメリットだけでなくデメリットもあります。エンジニア間の交流が逆に阻害されるということも考えられるでしょう。
組織改編
(2011年決算説明会資料より)

爆速Yahooが最初に取り組んだのは新たな概念を共有し社内組織を見直すこと。我々消費者など外部へのインパクトはその後でした。外部への取り組みについては次回ご紹介します。

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