あつまろです。

日本電産が2012年9月に米国企業を2社買収すると発表しました。Kinetek社とAvtron社です。年初にはイタリアASI社も買収しています。これら3社は家電・産業・商業用モーターに関連する企業です。日本電産は精密小型モーターの世界最大手ですが、家電・産業・商業用モーターにおけるプレゼンスは低かったようです。

これまでの主力である精密小型モーターは成長の伸び率は一服し、永守社長は「家電・産業・商業用モーター事業」を戦略カテゴリーとして定めています。
nihondensan
(2011年決算発表資料をもとに追記)
今回は日本電産の「家電・産業・商業用モーター事業」へのM&A戦略をフォーカスしてご紹介していきます。
「2015年には売上高3倍に」
今回の3社買収を経て、「家電・産業・商業用モーター事業」の売上は2010年度の1,000億円前後から2015年に3,000億円を計画しています。
acim-M&A
(Kinetek社Avtron社買収記者会見資料より)

永守社長は売上だけでなく利益を上げることも宣言しています。買収の2年目以降は利益率2桁(10%超)、2015年には15%超。収益をあげることに集中するため、当面「家電・産業・商業用モーター事業」における追加買収はないと公言しています。

「マーケットポジションに基づいたM&A戦略」
3社の買収についてはマーケットポジションに基づいて実施されています。既存で手がける技術領域と販路に対して、不足している技術領域と販売地域を埋めるようにして買収先企業を選定しています。

「買収前のマーケットポジション」
acimポートフォリオ2011
(Kinetek社Avtron社買収記者会見資料より)

「買収後のマーケットポジション」
acimポートフォリオ2012
(Kinetek社Avtron社買収記者会見資料より)

買収には「シナジー効果」という言葉がよく使われますが、マーケットポジションを眺めているとイメージが湧いてきますね。今回のM&Aで技術領域と販路の拡大が出来たので、既存事業で付き合いのある顧客(例:日本)に対しては、買収した企業の商品を紹介することができ商機が生まれそうです。逆に買収先企業の顧客(例:欧州)に対しては、日本電産の商品を紹介することができそうです。既に2012年初に買収したイタリアASI社については、日本電産のコネクションを利用して20億円超の受注引き合いが出ているそうです。

「M&A巧者、日本電産」
日本企業はM&Aで高値掴みをしていると言われます。しかし、日本電産の場合はそのリスクが低いです。理由のひとつは「買収2年目以降に利益率2桁(のれん除く)」と宣言している点。高値掴みはその分のれん代に響いてきます。もうひとつの理由はこれまで数十社の少規模買収の実績です。買収を繰り返すことで買収ノウハウを蓄積している点はとても大きなポイントです。
永守社長はこのような言葉を残しています。「M&Aは契約の時点で2合目しか登っていない。残りの8合分は企業文化の違いを擦り合わせる『PMI』という手間のかかる作業で、これがまた難しい」

「巨人に挑む」
産業・家電用モーター分野は米GEや独シーメンスなど世界のビッグネームがひしめく激戦区です。これらの企業から見れば日本電産の存在はチッポケなものでしょう。しかし、今回のM&Aで外部から技術・販路・人材の調達に成功したと見ていいでしょう。これから2015年に向けた3年間は内部を固めて内部成長を遂げていけるかどうかが注目点です。それが成功すれば2015年以降にM&Aなど様々な選択肢がとれます。将来を悲観する話ばかりが日本を覆ってそうですが、日本電産を見ているとワクワクしてきます。

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ご参考:日本電産に関する「あつまろのこだわり資産運用」ブログ記事
日本電産永守社長の生い立ち
2013年期第一Q決算
2012年期第四Q決算
2012年期第三Q決算
2012年期第二Q決算
日本電産IRページ(説明会の音声配信があります)