あつまろです。

日本電産の2013年度第一Q決算発表がありました。いつも永守社長の演説を聞きました、今回も非常に興味深い話になりました。
−第一Q業績について

日本電産2013第一Q
(日本電産 決算説明会資料)

昨年同期比で10%超の利益成長をしており、堅調に推移しています。現在のペースでいけば通期予想は十分超えていきそうに思えます、その点をアナリストから質問されての永守社長の回答が面白いです。「たまにはポジティブ・サプライズやらしてや〜」

ー同社主力のHDDモータ事業

日本電産2013第一Q
(日本電産 決算説明会資料)

要約すると「HDDモーターの需要は弱く販売量は伸びなかったが、高付加価値製品が植えており、利益は伸ばしていく。超薄型ハイエンドモデル(7ミリモータ)が全体の20%程度に伸びてきており、これは利益率が高い。極端にいえば過去モデルの2倍くらいになる。この事業は営業利益は30%を目指していく」

ーHDDモータ事業の見通しについてのアナリストからの質問に対して

「今後の投資については量的なもの(工場設備等)についてはトーンダウンさせるが、エンジニア(技術)については投資をしていく。技術は極めて困難な領域になっている。7ミリモータなんかは3年間も当社が独占している、他社が参入できるレベルではなくない、キャッチアップできない領域。ウルトラブックに7ミリが使われているが、来年からは5ミリが量産される。これはタブレットに対抗しようとしてると思う。PCとタブレットの境界はなくなってくるだろう。HDDは世界で3社に集約されたが、これまでと違って受給バランスをみて減産するようになった。値崩れを起こして採算がとれない状況を考えると健全化してきたと思う。これまでHDDメーカーが価格破壊で利益を出せない状態の方がおかしい。HDDメーカーも我々サプライ(部品)メーカーも受給バランスをとって適正利益を得るのは正しいと思う。」

私たち個人からみるとiPadなどのHDDを搭載していないタブレット端末で、HDDはダメになるのではないかと懸念をもってしまいます。「SSDが将来HDDを代替するのでは」と私も日本電産の将来にネガティブな印象を持っていました。しかし、その一方でタブレットやスマフォは端末自体に記憶させるのではなく、クラウド上で管理する機会が多くなってきました。Gmailなんかはわかりやすい例ですね。クラウドで管理するデジタルコンテンツの記憶容量は年40%の急成長を遂げています。このためクラウドで管理するサーバの記憶媒体は需要があるわけです、そしてその膨大なサーバで使う記憶媒体はHDD以外にカバーできない、というのが永守社長の主張であり、私もその意見に納得できます。

ー車載モーターの中国企業買収について

日本電産2013第一Q
(日本電産 決算説明会資料)

中国の車載モーターメーカー、江蘇凱宇汽車電器(江蘇省常州市)に51%資本参加。「この企業は中国民族系自動車メーカーと取引があり、テコにして伸ばしていく。既に日欧米自動車メーカーには取引があるが、今後は新興国に進出していく。新興国はいくらいい商品があっても(=QCDが揃っていても)人間関係がないと売れない。だからといって中国など新興国の大きな会社を買うのは危険。毒まんじゅうを食べるようなもの。今回の買収先企業のような(中小規模)の企業を買って育てるのが一番いい。既に民族系自動車メーカーとの関係を築けているのでハズレはない。先進国欧米についてはQCDを売りにして成長してきたが、新興国は違うので戦略を変えた。新興国に対してはマーケットや客を持っている企業を買う。買収はマーケットをとるのか、技術をとるのか、人材をとるのか。今回の買収は間違いなくマーケット(顧客)である。技術はたいしたことないので期待していない。車載モーターは先行投資分含めて黒字化ができた。先行投資を除くと既に営業益15%となっている。一つのステップをクリアした、これからさらに増やしていく。」

ー欧州経済低迷について

「ヨーロッパのマクロ状況については、メリット・デメリットの両方がある。円高ユーロ安は為替的にはデメリット。しかし、利益が圧迫するデメリットよりも、ほかの点でのメリットの方が大きい。欧州の景気低迷によって現地での競合他社のサプライメーカーが潰れていってる。欧州だけでビジネスをしている会社は売れなくなってきている」
弱い企業は厳しい外部環境に生き残れません。こういう環境を生き延びた強い企業は、ライバルがいなくなった場所で残存者利益を享受できるというわけですね。

ー産業用モーターについて

日本電産2013第一Q
(日本電産 決算説明会資料)

説明会や質疑応答ではあまり話題なりませんでしたが、産業用モータについて私が調べた状況をお伝えします。日本電産は元来強いHDD事業だけでなく、先に述べた車載用と産業用での成長を目指しています。ただ、産業用モーター分野は米GEや独シーメンス、東芝や日立製作所など世界のビッグネームがひしめく激戦区です。巨人たちから見ると日本電産は数ある電子部品メーカーの1社というレベルでライバル視されていないのが現状でしょう。

この状況を変える可能性が永守社長にはあります。同社の強みは買収スキルと経営力。今年4月には風力発電機や製鉄用など産業用モーター大手の伊アンサルド・システム・インダストリー(ASI)を買収しています。「高い技術をもっている。165年を生きてきた技術を買った会社。この企業の技術をアメリカと日本にも広める」と永守社長は述べています。2010年には白物家電や工場用機械向けモーターに強みを持つ米エマソン・エレクトリックの事業を買収しています。日本電産は小型モーターが得意でしたが、これら企業買収により大型モーター技術を獲得。アメリカと欧州のマーケットも手にしたことになる上に、これら企業の販路は新興国までカバーしているそうです。永守社長はそれでも「規模がまだ足りない」と述べており、2の矢、3の矢が飛んでくることでしょう。日本電産は精密小型モーターに最後発で参入し、世界最大手に成長してきた実績と永守社長の手腕があるだけに、米GEや独シーメンスなど巨人がひしめきあう世界でのチャレンジは見ていて非常に楽しみです。

ご参考:過去決算発表をうけてのブログ記事
2012年期第四Q決算
2012年期第三Q決算
2012年期第二Q決算
日本電産IRページ(説明会の音声配信があります)

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