あつまろです。

埼玉にすごいスーパーがあります。名前はヤオコー、23期連続で最高益を更新しています。献立提案や総菜を強みとし、売上高経常利益率は4・5%と業界トップ水準を誇っています。

業績をグラフで見ると気持ちがいいですね。
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(ヤオコー決算説明会資料より)

利益成長を続けているだけあって、配当額も順調に増えています。
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(ヤオコー決算説明会資料より)

今回はヤオコーとはどんなスーパーなのか?ということを取り上げます。
「おいしい惣菜」
もともと惣菜部門では500〜600品目を扱っていたのを、130〜150品目にまで絞り込んだそうです。量から質への転換ですね。とくに徹底して品質(味)を追求したのが売上高上位の10品目。上位10品目が惣菜売上の4割を占めるそうです。おはぎは担当者が宮城県の名店で修業を積んだそうです。
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(ヤオコーHPより)

「クッキングサポートコーナー」
夕食などの料理メニューを調理して、見本品として展示してあるコーナー。パート店員が店の食材を使い献立を提案する。最低でもパート社員一人は専任者として配置されている。平日で4〜5皿、土日は7〜8皿以上のメニューを調理して提案するそうです。毎日料理をしていると「今日は何を作ろう?」と頭を悩ませがちなので、ありがたいですね。

「生鮮食品が好調」
昨年度も大きく飛躍したのが生鮮(鮮魚)です。取れた生魚や野菜をその日のうちに店舗で販売する。今期には鮮魚の朝競りだけにとどまらず、昼競り/夕競り産地納品体制を確立を目指しているそうです。生鮮食材は鮮度が命だけにありがたいです。

「発注システムクラウド化」
スーパーって下手をするとローテクに偏りがちですが、しっかりシステム投資をしているところはさすがです。富士通と組んで発注システムをクラウド化しています。これによってヤオコーの恩恵は、従業員のサーバー管理業務負担ゼロ。サーバー運用電力を4割削減。店舗管理コストも1店あたり年間約100万円減。
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(富士通HPより)

「業界で日本一の給料を支払いたい」
ヤオコーのすごいところは社員のことを考えている点です。そのひとつが人件費。人件費は平均で約5%増だそうですが、一方で1人当たり売上高も4%増。社員といっても正社員だけではありません、この企業は「1万人のパート社員の活躍」を重視しています。商品価格設定や商品発注などの業務をパート社員に権限委譲。店舗常駐正社員を削減。では、そのパート社員とはどのように仕事に取り組んでいるのかを見ていきます。

「パート社員の65歳定年制と年3回の賞与」
パート社員の定年を5年間延長。夏と冬のほか毎年3月の決算賞与をパート社員まで全従業員に支給。

「パート社員の技能検定」
先に紹介した惣菜などの商品は、パート社員が店舗で素材に手を加えて完成させています。技能検定は商品化技術を向上させるために設けられた仕組み。おもしろいのは、技能検定を取得すると名札の下にシールを貼っていく。4つとも取得するとマイスターというふうに。パート社員の心にうまく訴求していますね。

「感動と笑顔の祭典」
先に紹介した「クッキングサポートコーナー」はパート社員が担っています。店内インテリアもそう。そこをさらに活性化させるような取り組みがこの祭典です。毎月、各地区から1店舗ずつ代表として選ばれたパート社員と店長がペアになって、店舗での新しい取り組みや改善提案を発表するというものです。

「中長期経営計画」
さて視点を経営数値に戻しましょう。2015年3月期まで3カ年の中期経営計画を発表しています。 東京都内や千葉県内などに進出し新たに計23店を出店。売上高は12年3月期比で18.4%増の2690億円、経常利益は同11.4%増の117億円を目指すというもの。 ちなみに長期目標は500店体制による売上高1兆円。 バックミラーも好調、足下もしっかりしている、先行きも万事順調そうです。

「が、懸念があります」
ここまで手放しで褒め称えてきましたが、個人投資家としてヤオコーに投資するのには二の足を踏んでしまいます。最大の理由はスーパーという業態です。業務の大半が人によるものである労働集約型ビジネスです。このビジネス形態は長時間労働、低賃金、低生産性という構造に陥りがちです。ヤオコーが人件費を高めてもあくまで業界内での話。パート社員も含めると全業種からみるとやっぱり低賃金に属すことになります。
ネットスーパーなどの台頭で価格競争も激しくなりそうですし、単身者を中心に店舗を訪れる機会自体が減りそうなのも気がかりです。日本では単身者世帯が急増しています。
そしてヤオコーの最大の武器であるパート社員に対するコスト増も懸念です。厚生年金加入などの社会保障負担が企業の肩にずっしりのしかかりそうです。

このようにヤオコーにも懸念は残ります。ですが、スーパー業界の優等生であることは間違いありません。惣菜やクッキングコーナーなどの取り組みをみると、安易なコスト競争に陥ることなくクオリティで勝負しているところも好感できます。教育以外にも機会を与える人材能力を引き出す仕組みもおもしろいです。私の住まい近くにはヤオコーは進出していないのですが、ぜひ出店してきてほしいなと思います。いち消費者として応援したくなるようなスーパーです。