あつまろです。

企業が低コスト生産を求めて「ものづくり」現場(製造)が海外にシフトし、国内雇用機会が流出しているというのは周知の事実。 しかし、製造部門だけではありません。米企業では研究開発(R&D)部門も海外にシフトしているそうです。
「製造部門は海外で。」
何度かブログでご紹介したスマイルカーブの絵です。
smile curve

中流工程である「製造」は付加価値が低く、アジアを中心に低コストで生産できる地域にシフトしてきました。その結果、iPhoneやiPadの生産をアウトソースする台湾EMS(電子機器の受託製造)企業が一手に生産を引き受けるようになりました。

アップルを代表とする米国ハイテク企業は、製造部門を海外企業にアウトソーシングする一方で、研究開発(R&D)や販売・ブランディングに磨きをみせていました。私たちのイメージは、「アメリカでイノベーション製品を生み出し(R&D)、アジアで作り(製造)、世界で売る(販売)」と思っていました。

「米国ハイテク企業の研究開発(R&D)拠点のアジア移転で雇用減少」
ウォール・ストリート・ジャーナル 2012年1月18日「U.S. Loses High-Tech Jobs as R&D Shifts Toward Asia」によると、ハイテク企業の研究開発拠点はアジアに移転し、雇用機会が減少していることがわかりました。企業のイノベーションは今後はアメリカ以外で生み出される機会が増えそうなのです。

アメリカNational Science Boardという機関による発表によると、研究開発(R&D)の支出合計はアメリカで4000億ドル。アジア(日本含)で3990億ドルとなっており、ほぼ同等の支出額まで来たそうです。

「地産地消」
グローバル企業は「研究開発(R&D)は国内、生産や販売は海外」という流れからは変化しています。地産地消です。市場があるところに、研究開発(R&D)、製造、販売がワンストップでそろう。その方向です。製造については「低コストを求めて貧困国じゃないの?」というご意見があるかもしれませんが、先日「製造業の将来」でご紹介したとおり、工場無人化への流れは始まっており、もはやロボットが製造を担当し、人件費を考慮する必要性が薄れてきています。

「国内雇用は減少する」
アメリカ企業は合理的です。国内雇用うんぬんよりも企業価値向上のための海外シフトです。アメリカという国が弱ってもグローバルで活躍するアメリカ企業の業績は絶好調でしょう。その一方で日本企業はマザー工場と言って製造部門を国内に残し、研究開発拠点の海外移転も遅いでしょう。しかし時間の問題です。だんだんとアメリカ企業に倣って、強い企業を先頭に海外移転をしていくことでしょう。国内の雇用は減少します。

「たいへんだー」という声が聞こえてきそうですが、意外とそうでもないと思ってます。じつは日本は生産年齢人口の急激な減少により労働力不足に陥るのです。製造業以外にも介護などのサービス業の需要はいまも旺盛です。介護関係の仕事は低賃金でワーキングプアを生み出すという問題は別にして、日本国内は生産年齢人口減により労働力供給が減少し、一方で市場縮小と海外移転により労働力需要も減少するのです。それが日本の将来だと思ってます。そこに悲観も楽観もありません。そんな日本の将来においても成功する人とそうでない人は今と同じようにいるわけで、やっぱり個人としてやるべきことは何も変わらないな、と思います。