あつまろです。

今回の記事における主役は日本マクドナルド(2702)です。まずは、このニュースから見ていきましょう。

「外食売上高、ゼンショー首位に、日本マクドナルド抜く。」

という記事が日経新聞2011年5月11日に載りました。ゼンショー(7550)が主力業態「すき家」の既存店売上高が17%増えたということ、牛丼価格引き下げ効果による客数増加により、同社の売上高は3707億円と11%伸び、マクドナルドの3237億円(10年12月期)を逆転。

この記事をみた人はどう思うんでしょう。「ふーん、ゼンショーすごいね」が多そうです。また、吉野家や松屋と比較した好みを連想する人もいそうです。なかには「マクドナルドは落ち目なのかな」とあえてマクドナルドに視点を移して考える人も少数かもしれませんが、いるでしょう。

じつは、このニュース。 ゼンショー「勝ち」、マクドナルド「負け」という単純な見方はできません。ゼンショーは数年前よりM&Aも積極的に利用して、トップライン拡大(売上増)を目指しています。一方でマクドナルドは経営改革に舵を切って、短期的な売上減少を覚悟した上で大規模店舗閉鎖に踏み切っています。その結果、約400億円の減収となっています。

ゼンショーとマクドナルド、売上以外の利益というモノサシを比較すると違った見方ができます。営業利益を見ると、ゼンショーが176億円、マクドナルドが676億円と3倍超の差があります。純利益ではゼンショーが47億円、マクドナルドが78億円となっています。収益性からみるとマクドナルドが上回っています。

さて、ゼンショーとの比較はここまでにして、この後はマクドナルドの取り組みを紹介していきます。

「戦略的閉鎖」

戦略的閉鎖
(出典:日本マクドナルド株主総会プレゼン資料)

すごいインパクトのあるスライドです。マクドナルドは全店舗の10%超を閉鎖するという大胆な戦略です。閉鎖対象として良い業績が出ていない店舗はもちろんのことですが、驚くのは業績がよくても閉鎖するという方針です。どういう基準かというと、店舗スペースが小さくて満足な商品ラインナップを提供できなかったり、不適切な立地にある店などを閉鎖するとのこと。

「寸を屈して尺を伸ぶ」=小さな利を捨てて大きな利を求める動きです。個別店舗の売上利益を捨てても、マクドナルド全体のブランドイメージを優先するという思いが伝わります。

この結果、店舗数削減と反比例して店舗あたりの売上は高まる見込みです。

店舗あたり年商
(出典:日本マクドナルド株主総会プレゼン資料)

「顧客の創造」

ドラッカー氏は、「事業の目的は、利益を上げることでなく、顧客を創造することである」と言っています。私が見るに、日本マクドナルド原田社長はこの言葉に沿ったアクションを起こしているように思えます。

100円マック
(出典:日本マクドナルド株主総会プレゼン資料)

「24時間営業」「ドライブスルー店舗」」を増加することによって、顧客が訪れる機会の提供。
「100円マック」「平日ランチの特別価格メニュー」による価格に反応する顧客への提供。
「ビッグアメリカンシリーズ」に代表される高価格帯で魅力的な商品の提供。
「スペシャリティーコーヒー」による、カフェ需要に対する提供。
また、DSやドコモとコラボによる新サービスで商品以外の面で新たな価値提供。

「しっかりした基礎づくり」

私は日本マクドナルド原田社長を高く評価しています。ここまでの話題は、リストラ・新商品・新サービスという話をしてきましたが、本当に評価できるのは、基本がしっかりしていることです。

彼は2004年にアップルから日本マクドナルドの社長に就任しました。その頃は日本マクドナルドはディスカウントばかりで勢いを失っていました。彼が最初に取り組んだのは、「QSC」の徹底です。QSCとは「Quality」(品質)、「Service」(サービス)、「Cleanliness」(清潔)です。既存の商品、サービスの見直しによる改善、店内の清潔すること。外食産業における当たり前のことに1年間取り組んだ結果、7年連続売上減少をストップさせたのです。

そして当時も今も重視するのは、人材への投資。すなわち従業員教育です。
決算報告では、従業員満足度も公表しています。

ES
(出典:日本マクドナルド株主総会プレゼン資料)

「クルー開発プログラム(CDP)」によって業務知識だけでなくチームワークも従業員に教育する。
「ハンバーガー大学」の戦略的位置づけの高めて、従業員にビジョンを共有する。
「オールジャパン・クルーコンテスト」サービスやオペレーションスキルの日本一を決めるコンテスト開催し、従業員のモチベーションの高まりを狙い。

ちなみに従業員のトレーニングツールはニンテンドーDSを利用した「eSMART」という仕組みだそうです。これ、市販されたら、どんなものだろうと買う人が出てきそうですね。
e-SMART
(出典:日本マクドナルド株主総会プレゼン資料)

基礎がしっかりすることは口で言うほど簡単なことではないです。しかし、それをしっかり成し遂げてきています。土台がしっかりしているからこそ、いろんな戦略が功を奏するわけです。

投資対象という切り口で見た場合、日本マクドナルドは魅力的かと言われると、太鼓判を押すまではいきません。やっぱり日本においては成長余力に限界があるので、どんどん海外展開をしている本家の米マクドナルド(MCD)の方が魅力を感じます。また、日本マクドナルドは優待狙いの投資家(または消費者)からも熱視線を受けてあまり株価に割安感はありません。この点も米マクドナルド(MCD)の方が魅力的に感じます。

ただ、原田社長の方向性というかビジョンは、正しい方向に向かっていると私は感じます。投資してもそれなりのパフォーマンスは出せそうではあります。

参考記事:「マクドナルド I'm loving it ?
参考記事:「世界市場で成長する企業の見つけ方

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