あつまろです。

栃木のすごい企業「マニー(7730)」

手術用縫合針、眼科用ナイフ、歯科用治療器などを手がける医療機器メーカーです。営業利益率35%超、17期連続増収達成。
※連続増益記録は2011年の大震災の影響おまり、途絶えてしまいました。

以下の7つの切り口でマニーを見ていきます。

「1.経営方針・企業風土」
「2.事業ポートフォリオ」
「3.製品の品質」
「4.売上」
「5.コスト」
「6.参入障壁」
「7.課題・リスク」

「1.経営方針・企業風土」

①「世界一というプライド」

「The BEST Quality in the world, to the world」
(世界一の品質を世界のすみずみへ)

マニー社員が着るジャンパーには上記のメッセージがプリントされています。

世界一か否かを確認する会議や、世界一に関する論文が社員の昇格条件と、見える見えないに限らず社内には世界一が散りばめられているようです。「世界一を追求する企業風土」従業員にとっては、自分が手がける仕事の目的は「世界一」というプライドとやりがいが湧いてきそうです。

②「企業理念」

「患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発、生産、提供を通して世界の人々の幸福に貢献する」。これがマニーの企業理念です。

企業理念というのは、企業の精神であり、企業によってはお飾りになって浸透度が違うものです。ちなみにJ&J社の企業理念「我が信条」と浸透度は有名です。

マニーは浸透度はどうなんでしょう?それを示す良い事例がマニーの社内会議「世界一か否か会議」にあります。この会議では自社製品が世界一かどうかの検証結果を発表。経営者を含む社内関係者が世界一でないと判断したら販売中止。自社技術が2番なら他社商品を販売させた方がお客さんのため、世の中のため、という思想。ここまでの覚悟と明確な基準を持つ企業がどれだけあるでしょうか。

③「やらないこと」

やらないことを明確に定義しています。

(1)医療機器以外扱わない
(2)世界1の品質以外は目指さない
(3)製品寿命の短い製品は扱わない
(4)ニッチ市場以外に参入しない

これらのユニークな経営に対して2008年に「ポーター賞」を受賞しています。ちなみに「ポーター賞」というのは、製品や経営手法などで革新的な戦略を打ち出し、高収益をあげている企業を表彰するための賞です。余談になりますが、このポーターといのは、経営戦略の大家マイケル・ポーター氏の名前からです。氏の代表作である競争の戦略は今日でも戦略論の古典として経営者やMBAなど経営学を志す者にとってのテキストです。定価は6000円程度とお高いです。

マニー
(出所:マニーHP2010年決算説明会資料)

「2.事業ポートフォリオ」

マニーでは事業を3つに分類し、それぞれの事業が売上に対して30%超とキレイに3つに分割されており、小型企業にありがちなひとつの製品の一極集中でなく、いくつかのキラー商品を保有しています。

①アイレス(手術用縫合針)

心臓血管を縫合する針で心筋梗塞や心臓弁に利用します。一回の手術で100本程度使うようです。
この針の品質が悪いと、手術中何度縫っても出血してしまうのですが、マニー製品は品質が良く好評を得ているようです。国内シェア90%。

②サージカル(眼科用ナイフ、トローカル)

眼科手術用品です。トローカルという製品は眼球(白目部分)に穴を開けるのですが、切り口が小さく縫い合わせる必要がなくなるケースがあるそうです。傷を負う患者の立場からも、手術をする医者の立場からも優れた魅力的です。国内シェア60%

③デンタル(リーマファイル)

国内シェア90%。3事業のうち、ここが一番心配な事業です。サブプライムリーマン・ショック後には景気悪化により虫歯治療を我慢する患者が増えることによって受注が減りました。歯が痛いのを我慢するというのはビックリですが本当におカネがないときは歯医者にも行かなくなるものなんですね。また、中国などの偽ブランドの問題があります。偽ブランドにより売上機会が減るのも痛いですが、何よりマニーの信頼を貶める可能性があるのが重要かと思います。2010年あたりから対策を打ちはじめて真似されにくいパッケージや販路などの見直しをしているそうですが、コスト増要因になっています。ちなみに、需要サイドからはマニーの偽ブランドということを知っていて(安いから)買っているという顧客もいるそうです。

製品
(出所:マニーHP2010年決算説明会資料)

「3.製品の品質」

マニーの製品は、結局針金を用いて手術用針の先端にこだわる。という一言に尽きます。

ひとつの製品を長期的に改善し続けて、世界一の品質であり続けるというのが思想です。加工機械も自社開発です。担当者は医療関係者の声を聞いて製品に反映させたり、何度も何度もテーマを追いかけ続ける製造改善(トンチ)を続けています。

IR担当者に具体的な話を聞きました。

「例えば、手術用縫合針は、耐久性の高い素材を用いており、(小さい部品なので)加工が難しいのですが、当社はその技術を持っています。針の微妙な角度や耐久性の面で現場からは高い評価を得ていますし、他社との耐久性比較でもその差は出ています。」さらに品質チェックに対する質問には以下のようなお話を聞きました。「品質チェックはマシンでチェックをしています。チェックするマシンも独自開発しています。マシンチェックの後に全品、人の目でチェックしています。マシンで見抜けない微妙な違いはここで検知します」

ちなみに研究開発で得た固定技術は特許化しています。

また、何度か話題にあがった「世界一か否か会議」では、世界一であることを証明するためにいくつかの角度から他社との定性・定量比較分析をしています。(例:製品種類、寸法、価格、納期、販売姿勢、小売点評価)

「4.売上」

輸出比率は65%超で約3分の2。世界で稼ぐモデルを築けています。

既存商品における成長余地は、新興国需要が増えていたり、北米でのシェア拡大余地があり、まだまだ伸び幅はあるそうです。初期から取り組んでいた手術用縫合針ですら世界シェアは10%程度ということです。

海外売上比が高いとなると円高の影響を受けそうですが、マニーは円建取引をしているので、直接的な影響は受けません。しかし、取引先としては価格が上がるので実質販売価格が上がるので、買い控えが生じたり、値引き要求は起こっているようです。

また、欧州やアジア地域と比べて、北米比率はGDPの高さと比較して弱い状況が続いています。この理由をIR担当者にヒアリングしたところ、北米が伸びない理由は提携している販売代理店の弱さがひとつの要因となているそうです。課題認識はあるそうですが、まだ効果的な対策が打てていません。世界の富が集まる北米で販売機会の損失があることは課題です。

mani
(出所:マニーHP2011年決算説明会資料)

「5.コスト」

マニーの営業利益率は35%超。目標としては40%を狙っているそうですが、その高収益率を支えるのは低コストが寄与しています。

①海外生産

海外生産比率上昇によるコスト削減によって、利益率向上を目指しています。

2005年度の決算では売上高海外生産比は8.2%
2010年度の決算では売上高海外生産費は28.1%

売上自体が増えているのに関わらず、5年間で20%分の上昇。MAX比はだいたい40%弱あたりを置いているそうです。だんだんとピークに近づいてきています。具体的な工場地はベトナム、ミャンマー、ラオスです。マイナーですね。

以前、私がIR担当に立地の選定理由と、海外生産における外国人の作業品質懸念について質問しました。「まずはコストの問題。そして国民性。工場では細かい根気がいる作業なので、今の日本ではそういう仕事をする人がいません。海外の方がむしろ優れいている点が多いのです。ちなみに中国人も細かい作業はむきません。作業は女性の方が向いています。繊細で根気があります」

従業員の推移を見てみましょう。
2006年度決算説明会では日本281名、グループ全体で1140名
2010年度決算説明会では日本295名、グループ全体で2388名

日本は横ばいで、海外での従業員が増えているのがわかります。が、この数字だけでは見えてこない人数があると思います。おそらく日本での工場は派遣などの非正規雇用が増減してるのではないでしょうか。非正規雇用まで入れた日本人従業員は工場の海外移転によって減少しているのでないかと思っています。

②原材料

マニー製品の原材料は「針金」。販売価格に対する材料費はなんと1%程度らしいです。

生産比率
(出所:マニーHP2010年決算説明会資料)

「6.参入障壁」

本来であれば「1.経営方針・企業風土」の一部とすべきかもしれませんが、あえて別出しにしました。

参入障壁は、規制で守られていたり、圧倒的な技術(特許)による差別化、ガソリン自動車エンジンに代表される大型設備投資や技術が必要になるなど、「競合が参入できない」ということを、普段連想します。が、マニーは違います。製品の規模が小さいニッチ市場に取り組むことによって、大企業が参入メリットを見出さないという戦略です。「なるほど」と思いました。言ってみれば「井の中の蛙」戦略ですね。

「7.課題・リスク」

ここまで基本的に良い点を挙げていましたが、投資を検討するにあたっては問題となる点にも目を向けなくてはいけません。

①技術革新により機器の根本的変化

マニー製品が駆逐されるような技術革新による代替商品の登場。

②世界各国の医療費抑制政策強化

日本もそうですし、欧米も含めて政府が医療費抑制にむけての政策をとっています。現状に甘んじていると、だんだんと売上が下がるわけです。

③コスト削減を求めたグループ購入化

医療機関がグループ購入をすることで、買い手の発言力が増して値下げ圧力が高まります。

④研究開発と4本目の柱

ビジネスモデルとして継続的な研究開発が必要ですが、既存技術の改善だけでなく、新たな収益源が欲しいところです。

⑤北米開拓の遅延
⑥円高による値上げ(円建て取引)
⑦非先進国の信用収縮(貿易保険ができず前払い)
⑧偽ブランドへの対策

「コメント・過去の記事」

このブログ記事は2011年2月に記載したものを、定期的に最新情報でアップデートをかけています。数年間マニーの株価が下がるのを待っていましたが、2011年になってようやく買う機会に恵まれてホルダーとなりました。3月の震災直後の暴落時に初回買い。ギリシャデフォルト懸念と超円高による日本株暴落時に追加買いをしています。

2011年2月決算についての考察

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